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「日本病」の処方箋『景気連動政府』

2013042601■公務員の給料が下がらないのは民間企業のせい?

 現在の公務員の給与水準は、一応は民間企業をベースにしていることになっているが、そのモデルとなる「民間企業」というのは「大企業」を意味していることは周知の通りである。民間企業全体の平均年収は400万円程度だが、大企業の平均年収となると700万円以上ということになり、一気に2倍近く跳ね上がることになる。

 公務員が国民全体の奉仕者であることを考えれば、確かにこれでは筋が通らない。そのため、不況になると「公務員の給料を下げるべきだ!」との批判がよく聞かれる。しかし、マクロ的な視点で観れば、公務員の給料を下げても、全体としての景気が良くなるわけではなく、また、給料分以上の仕事をしている公務員も少なからず存在するため、公務員の給料を一律に減額するというのは、必ずしも公平とは言えないし現実的でもない。
 庶民的(ミクロ的)な視点から「公務員だけが優遇されるのはおかしい」というのはその通りだが、公務員の給料を下げたからといって、その下げた分がそのまま民間企業に流れてくるわけではないので、根本的な解決策にはならない。残念ながら、闇雲に公務員の給料を下げるだけでは、お金の巡りが更に悪化することになり、景気が更に悪化する可能性も否定できない。

 人間誰しも「一度手にした既得権は手放したくない」というのが本音だろうから、如何に仕事に対してべらぼうな収入を得ていたとしても、その既得権を無理矢理に奪おうとすれば、激しい抵抗に遭うことになる。公務員であろうとなかろうと、生活を抱えた人間であることに変わりはないので、如何に不条理であろうとも、正攻法では、この現状を簡単に変えることはできない。

 ではどうすればいいのか?
 考えられる上で最も無難で現実的な方法は、公務員の給料を『景気連動型』に変えることである。これなら公務員の人でも納得できると思う。
 先に、公務員の給料は大企業に倣っていると述べたが、まずその大企業が景気や業績によって収入が大きく変動するという給料体系にすれば、自ずと公務員の給料体系も変わっていかざるを得なくなる。公務員の給料が不景気であっても下がらないのは、民間企業(この場合は大企業)の給料制度にも原因があるということである。

■ゲーム感覚で国家を運営する官僚達

 景気が良くなれば給料が上がり、景気が悪くなれば給料が下がる。この当たり前の給料制度を公務員社会に適用するだけで日本経済は正しく甦る可能性がある。
 現在の公務員を含む官僚組織の給料体系は、景気連動型にはなっていない。いや、景気連動型になっていないというのは正確ではない。正確に言えば、景気が悪くなればなるほど、仕事が増えて給料が上がるという民間企業とは表裏一体の関係になってしまっている。言わば、『景気反動型』とも言える。この歪んだ構造が齎す悪弊は如何ともし難いものがある。

 例えば警察が、ある上場企業の社長を冤罪で逮捕することによって、株式市場を破壊し、景気を悪化させ、就職できない人や自殺者が激増したとしても、その警察官は減給とはならず、逆に昇給となって栄転するというような社会を考えれば分かりやすい。本来、公務員がそのような失態を演じれば、減給どころか、クビになるというのが真っ当な社会の姿である。

 景気が悪くなれば給料が下がり、景気が良くなれば給料が上がる。その当たり前の法則が機能していれば、官僚も政治家も不景気になるようなことはできなくなるので、どうすれば景気を良くすることができるのかを真剣に考えるようになる。逆にそういった当たり前のシステムが機能していなければ、どんなミスを仕出かそうと痛くも痒くもないので、官僚達はまるでシムシティ(という昔流行ったゲーム)でもプレイしている感覚で国家を運営することになる。国家運営に失敗してもリセットボタンを押すだけで、何のペナルティも無ければ、やりたい放題の悪政が罷り通ることになる。
 景気が悪くなり過ぎると職を失うという至極当然の公務員システムが機能すれば、日本経済は良くなっていく。これまた至極当然の帰結である。

■深層心理で国民の生活が良くならないことを願う人々

 現在の「公務員」と「一般人」の関係は、Win-Win(ウィンウィン)の関係ではなく、また、Lose-Lose(ルーズルーズ)の関係でもなく、公務員は負け知らずの独り勝ちWin状態になってしまっている。この歪んだ関係を見直す必要がある。
 この関係は株式投資で言うなら、空売り投機家と現物株投資家の関係に似ている。無論、公務員は空売り投機家の方である。
 空売り投機家とは、株式が騰がって喜ぶ投資家とは逆に、株式が下がれば喜ぶという人々である。ある程度、株式が騰がったところで空売りをしかけ、下がったところで買い戻すことで利鞘を儲ける。そして投資家が意気消沈しているところに付け込んで更なる焼け太りを企む。まさに「空売り天国(公務員天国)」というわけだ。

 現在の官僚組織は、景気が良くなって国民の生活が良くなることを良しとしない。しかし、別に彼らは悪気があるわけでも精神的に捻くれているわけでもない。現状の国家システムでは、そうならざるを得ないのである。この矛盾は国家というものができた頃からの宿痾(持病)とも言えるが、この慢性的な病気を治さない限り、日本経済の真なる持続的な発展は無い。
 表面的には景気の回復を喜んでいる振りをしながら、潜在意識の深奥で日本経済の持続的な発展を嫌う権力者がいるわけだから、これも当たり前の話である。『景気連動政府』というのは、その歪んだ精神を矯正するシステムであり、国家病(日本病)を治す1つの処方箋でもある。

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