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『半沢直樹』のラストに激怒する人々への処方箋

2013092301■『半沢直樹』に恋した人々

 社会現象ともなった国民的超人気テレビドラマ『半沢直樹』が終了した。
 多くの視聴者は、きっと『水戸黄門』的な爽やかな気分を味わえるのだろうという期待を胸に固唾を呑んでラストを見守った。ところが、ラストでは全く予想外の結末となり、「え、これで終わり?」「裏切られた!」となった人が大勢いたらしい。

 このドラマの原作には続編があり、今回のラストも一応は原作通りなので、怒っても仕方がないことだと思われるのだが、これまで半沢直樹に感情移入してきた熱狂的なファン(?)からすれば、「許せない」ということらしい。

 元々、『半沢直樹』というタイトル自体、原作とは違っている。今回放送された『半沢直樹』というテレビドラマ自体、池井戸 潤氏の『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』の2作品をカップリングしたドラマであり、第3弾である『ロスジェネの逆襲』も既に書籍として販売されているので、今回のラストは明らかに続編が有るということを意識した上でのドラマ的手法だったというわけだ。

 こういった意外なラストは海外ドラマではよく見られる傾向なのだが、日頃から無料のテレビドラマしか観ない人々には、このてのドラマ的な捻りが分からなかったのかもしれない。とは言え、そういった連続シーズンドラマにお約束の「To be continued」という言葉を入れなかったTBSにも視聴者にいらぬ誤解(マイナス感情)を与えた責任の一端は有るのかもしれない。

 しかし、このドラマのラストが与えた衝撃は意外なほど大きかったようで、「続編が有りますよ」と言っても、納得できないという人々が多いと思われる(実際にいる)ことだ。これまで散々ベタ褒めしていた熱狂的なファンに限って「続編が有ってももう観ない」と言っている人が大勢いるらしい。おそらく彼らにとって『半沢直樹』は恋のようなもので、1度裏切られたという感情を持ってしまったからには、謝っても許さないということなのだろう。彼らにとっては、まさに「半沢直樹英雄神話」の崩壊と言ったところだったのかもしれない。

■『半沢直樹』に失恋した人々への妙薬

 私自身、池井戸 潤氏のファンでもあるので『半沢直樹』以前にも彼のドラマは好んで観てきた。彼の原作ドラマは今回の『半沢直樹』以前にもNHKで『鉄の骨』というテレビドラマが放送されたことがあり、以前から、優れた…と言うより面白い企業小説を書く人物だと注目してきた。
 と言っても、私の場合、創作物としてのフィクション本は、最近ほとんど読まなくなったので、彼のドラマは有料のWOWOWで放送された後に販売されたDVDソフトで観てきた。(『鉄の骨』もDVDで視聴)
 この『半沢直樹』シリーズはWOWOWで放送されると思っていたのだが、無料のTBSで放送されたことによって、これまでにない秀逸なドラマということで社会現象にまでなったわけだが、私の実感では『半沢直樹』並み、あるいはそれ以上に面白いドラマは既に存在していた。

 『半沢直樹』のラストでモヤモヤ感を抱き、そのマイナス感情が払拭できない人には、同じく池井戸 潤原作の以下の作品を観ることをオススメしたいと思う。

 『空飛ぶタイヤ
 『下町ロケット

 2作品とも続編のない完結ものなので、『半沢直樹』のようなモヤモヤ感は残らず、爽やかな気分になり、「半沢直樹の続編も観てみようかな」という前向きな気分になれること請け合いだ。

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社会問題」カテゴリの記事

コメント

以前は見ていたが、今では金払ってあんなつまらないもの見る奴の気が知れない

投稿: k3 | 2013年9月24日 (火) 12時32分

とてもよくわかる分析ですね。
でも異論があります。原作とテレビは結末の印象が全く違います。
原作は、半沢一人をそっと上司たちが呼び出し、出向を内示します。半沢はこんな上司はあてにできないとわかり、しばらく地方でゆっくりするのもいいかと肯定的に考えます。ですから爽やかな印象を残して終わるのです。
一方、テレビの方は、直接頭取が呼び出し、上司さえその内容を知らず栄転と部下たちとともに思い込んでいます。ですから、半沢もそう思い込み、頭取の出向命令を聞いて、頭取も敵だという目でにらみつけて終わる、後味の悪い結末です。
演出者のこのやり方の理由は2つ考えられます。
1.すでに続編「ロスジェネの逆襲」が決定していて、そこに視聴者を引っ張るため。これは原作になかった「セントラル証券」の名前が出ていたことから確率が高いと思われます。
2.視聴者をあっと言わせるため最後に半沢自身に倍返しをさせるため。
しかし、1なら「続編」のニュースを最後に出すべきでしょう。
2なら演出者が無能な証拠です。このドラマはいわば大西巨人の「神聖喜劇」の現代版です。帝国陸軍の中で陸軍服務規程の条文を駆使して上官たちの横暴と戦い、尊厳と信念を守ろうとした一上等兵。その会社版が半沢直樹なのです。ただ、半沢は、「目には目を、歯には歯を」の精神で、かつのしあがって風通しの良い銀行にすることが信念ですが。(よってテレビの復讐
譚の改変も気に入りませんが。まあ、そこは目をつぶります。)
ともあれ、あの結末は納得がいかないのが当然ということがわかっていただけると思います。

投稿: yuuzou | 2013年9月27日 (金) 23時37分

 基本、役所や役所の関与の強い業界は、市場原理(公正原理)が働かないので、理不尽横行になるものです。

 それが分かってる社会人から見れば、半沢直樹のラストはおかしくもなんともなく、現実的ですよね、、、ブログ主さんも(たぶん)そう思ってるように。

 半沢直樹はさっさと転職するか、割り切ってゴマすり合戦・派閥争いに参入するか、、というのが現実世界で多々見られることですが、そうでない人間がいて勝ってしまう。。。これは正にフィクションです。

 こういうドラマに触発される人間がいたら可哀そうですが、そういう思慮浅い人間は、ドラマに触発されずとも、いつかどこかでつまずくだろうからしようがないのか?

 しかし、この手のドラマがそういう不幸を生み出すきっかけになることは間違いないところで、リアルに似せたフィクション小説というのは罪深いと思う次第。

(補足)長い目で見れば、市場原理(公正原理)から逃れられる組織、国家はないので、半沢直樹のようなヒトがいなくても上下ありつつ、社会の理不尽度は漸次減っていく必然にある、、、そう思います。
 実際、歴史はそう動いてますし。 

投稿: joju | 2013年9月29日 (日) 00時28分

私も「激怒組」のひとりです。
本来ならああいう終わり方でおさめるドラマが
多いし、現実もまた、そうだろうとわかっています。
しかし、このドラマは従来の「やられっぱなし」
「辛抱するだけ」の展開と初めから違っていて、
現実には有り得ないような「やり返し」を
ものの見事にやってのけます。
つまり、ああ、これは「ファンタジー」なのだな、と
見るものに思わせてしまったのです。
だから当然最後も、痛快で爽快なものになるだろうと
思い込んでしまった、だから裏切られたような
気持ちになってしまい「激怒」した、という
訳です。
最後だけ「現実なんてあんなものですよ」と
言われても納得でない、だったら
そもそも有り得ないような展開なんか
しなければいい、と思います。

小説のほうは読んでいませんでしたので、
一度読んで見たいと思います。

「七つの会議」も、ドラマで見ましたが
骨のある
面白い話でした。

投稿: 翡翠 | 2013年9月29日 (日) 20時23分

半沢直樹のラストに納得できないという意見が多いのは、視聴者に誤解を与える演出であったことが原因でしょう。
そもそも、半沢融資課長の5億回収は、役員会における半沢の出向承認に間に合っていません。
なので、5億の回収後、出向の取消しと営業部次長への昇進は、大和田常務の権限で行われています。
半沢にそのつもりがなくとも、銀行本店の誰もが「半沢のバックには大和田常務がいる」と認識していたはず。
演出では親の仇であることが強調されすぎていましたが、半沢の父親が大和田に追い込まれて自殺した件は、銀行の誰も知りません。
東京第一派閥の頭取が、伊勢島ホテルや金融庁検査の担当に半沢を指名したのは、職務遂行能力だけでなく、産業中央派閥トップの大和田に物凄く気に入られている点を考慮したからではないでしょうか?
両派閥のトップに見込まれているとあれば、行内一丸となって対策にあたることができる。
実際、東京第一派閥は半沢の邪魔をしていませんし。
それで金融庁検査を乗り切ったはずが、役員会議で産業中央派閥の内乱とも言える状況を、よりによって行内一丸のシンボルだった半沢が産み出してしまった。
自分のバックが信用を失えば、半沢自身の次長昇進人事にもケチがつくのも必然。
「もう一度、ちゃんとした手順で昇進してこい」となっても不思議ではありません。
演出の拙さで、出る杭が打たれたと思われている視聴者が多いですが、あれは喧嘩両成敗ってことでしょう。

投稿: クロコダイルPOP | 2013年9月30日 (月) 23時38分

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