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食材偽装問題とインフレの予期せぬ関係

2013111701■食材偽装問題の本質とは何か?

 なぜかこの時期、次から次へと発覚した高級ホテル等の食材偽装問題。ここまでの経緯を見る限りでは、食材の偽装を全く行っていない業者の方がむしろ珍しいのではないか?と疑ってしまいたくなるほどの異常な事態となっている。
 テレビニュースを観ていても、毎日のように偽装業者お決まりの謝罪シーンのオンパレード状態となっており、視聴者(消費者)もいい加減にウンザリし、呆れるのを通り越して、既に免疫ができつつある状態かもしれない。

 何年か前に話題となった食品偽装問題では『消費者庁』というお役所ができることになったので、今回の食材偽装問題では『第2消費者庁』でも新たに創設されるのではないかと疑ったものの、今のところそのような気配は感じられない。どうやら、この問題の本質はもっと根深いところにありそうだ。

 一連の食材偽装が起こった原因は「デフレ」にあると述べている人もおられるようで、納入原価の安値競争によって必然的に産地を偽装する羽目になったという意見も聞かれる。そのくせ、高級(高給)ホテル側は、販売価格を値引きせずに利鞘を得ていたということらしい。これが本当のことであれば、まさに「身から出た錆」と言ったところだろうか。

■タレコミでしか発覚しない食材偽装

 かつての食品偽装にせよ、今回の食材偽装にせよ、それが偽装であることを見破ったのは、実際に食材を口に入れて味わった消費者達ではなく、「内部告発(タレコミ)」という他力であったというところは実に悩ましい。
 高級ホテルや百貨店で購入した偽ブランドの食材を口にして「さすがは○○産だ」と舌鼓を打っていた人々も、ここまで問題が大きくなると迷惑な話であり、中には「穴があったら入りたい」という人もいるかもしれない。偽ブランドであっても「美味しい」という場合は有り得るが、見栄を張って、味の違いまで評論していた人の味覚も本物ではなかったことが判明してしまったというわけだ。

 ミネラルウォーターやビールやお酒なら、ある程度は味が分かるという人は大勢いるが、高級食材などは、普段から頻繁に食べている人でない限り、味の違いなどはさほど分からない。田舎で新鮮な野菜などを食べれば、都会で販売されている野菜とは明らかに味が違うことが分かるが、初めて食べるような珍しい食材の場合、新鮮かどうかは判断できても、味の違い(美味い・不味い)などは、実はほとんど分からない。仮に味の違いが分かったとしても、ブランドものだからといって、必ずしも万人が美味いと感じるわけではないので真贋を見分けるのは至難の技ということになる。

 となると、食材偽装を食い止める手段は、基本的には業者のモラルに頼るしかないわけだが、現代のような仕入れ業者がデフレ病【モノが安くなることを当然とする病】を患ったような過剰な価格競争社会では、納入業者は仕入れ業者の言いなりに成らざるを得ず、結果的に偽装に手を付けてしまうという「貧すれば鈍する」状態に陥ってしまうことになる。
 モラルは持っているが、モラルだけでは食べていけないということで行った負の行動が、相次ぐ食材偽装問題として表面化したとも考えられる。高級ホテルや百貨店は、そういった納入業者の偽装を知った上で、販売価格を吊り上げていたわけだから、納入業者よりも罪が重いと言える。

■食材偽装問題発覚によって齎されるインフレ

 しかし、今回の食材偽装問題が改善されることになったとしても、それによって齎されるものとは、結局、商品の値上げに他ならないのではないかと思う。デフレ・スパイラルに対応するために水面下で行われていた食材偽装は、その偽装が暴かれたことによって、商品価格は騰がる(つまりインフレになる)という皮肉な結果を生み出すことになる。 
 もっとも、正真正銘の本物商品を提供していたホテルもあるだろうから、デフレに対応するためと言うより、デフレ下で高級(高給)ホテルのブランドを維持するために行われていた偽装と言った方が正解かもしれないが。

 いずれにせよ、今回の食材偽装の発覚は、デフレによって本来の市場価格以下になっていた商品価値(偽物にすることによって保たれていた商品価値)が適正価格に戻っていくことを意味しており、そのこと(値上げすること)を消費者が批判できない空気が暗黙のうちに醸成されたということを意味している。

 恥を承知の謝罪会見での「…申し訳ございません」という言葉の前には、実は「デフレ価格を止めることになりますが…」という言葉が隠れているような気がしてならない。だからこそ、我も我もと謝罪する業者が出てきたとも考えられる。その姿はまるで、「もう我々はデフレのための無意味な価格競争はご免被ります」と言っているかのようでもある。
 日本のインフレ化への伏兵が、実は食材偽装問題が発覚するという事態の中にも潜んでいたということを、一体誰が予想できただろうか?

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コメント

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Jayce Bartok is an actor/producer/author/director who runs Vinyl Foote Productions from Brooklyn with his spouse Tiffany.
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投稿: menu r4 | 2013年12月 6日 (金) 20時21分

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