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BOOK 『嫌われる勇気』を読んで。

2014030801 話題のベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 著)を購入し読んでみた。
 たまたま、アマゾンのランキングで目に止まった本だったが、キャッチコピーの「自由とは他者から嫌われることである」という言葉に引かれて購入する運びとなった。
 ところで本書は、立ち(座り)読みはアマゾンで行い、購入はリアル書店で行った。家電製品の(悪名高い)ショールーミング化は有名だが、本の場合は、ネットとリアルの逆ショールーミング化という場合も有り得るわけで、私の場合、書店に置いていないような本はアマゾンで購入するようにしているが、知名度の高い本は極力、リアル書店で購入するように努めている。(リアル書店の応援の意味も込めて)

 さて、本題に入ろう。本書は一時、ベストセラー1位にランキングされたほどの人気本だが、ジャンルとしては珍しく「心理学」の部類に入る。このての本が売上1位になるというだけでも興味深く、一体どんな内容の本なのかと興味津々と読んでみた。

 ソフトカバー本とはいえ、紙質が薄いせいか、ページ数の割りには手にしたボリュームが感じられない本であり、見かけはかなりチープな感じのする本だった(失礼)が、その反面、内容的には非常に濃い本だった。「人は見かけによらない」と同じく「本は見かけによらない」を地でいく本だった。
 どちらかと言えば、心理学というより哲学に近い内容であり、古代ギリシャ哲学でよくみられる「対話篇」という体裁を取ったユニークな本だった。

 心理学者としては、ユングやフロイトが有名だが、本書には第三の心理学者アドラーが登場する。欧米では、この3人を「心理学の三大巨頭」と呼ぶらしい。

 著者の古賀史健氏はユーモアセンスの有る人のようで、「哲人」と「青年」との対話が面白く、かなり凝っている。人生に悲観的でニヒルな哲学青年を説き伏せていく「哲人」は、著者の2人、ひいてはアドラー自身の生き写しなのだろう。
 難解な哲学書という趣きを一切廃し、1冊の本を丸ごと対話篇にしたのは実に上手い手法だと思う。アドラーの心理学と同様に、本書もかなり独創的な本になっている。

 日本でもフロイトが説いたとされる「トラウマ(心的外傷)」という言葉は有名で、本やブログなどを読んでいてもよく見かける(私もたまに使用する)言葉だが、アドラー心理学では、その「トラウマ」を完全に否定する。曰く「トラウマは無い」と。
 そして、「全ての悩みは対人関係の悩みである」と断じる。「引きこもり」や「吃音」「ワーカホリック」という現象を原因論ではなく目的論で捉え直した論考は、実に興味深かった。

 フロイト心理学が「原因」を探る心理学(責任転嫁論)であれば、アドラー心理学は「目的」を探る心理学(自己責任論)であり、極めて未来志向の実践的な心理学(人生哲学)だとも言える。
 その証拠に、有名なデール・カーネギーの『人を動かす』やスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』もアドラー心理学が基になっているらしい。
 
 おそらく、大抵の読者は、この本に登場する「青年」と同じような認識で本書を読み進めるのだろうと思う。架空の「哲人」に対し、人生の疑問を自らぶつけているような錯覚を覚え、どんな難問にも明快に即答する「哲人」に、いつしか興味を抱いている自分を発見するのではないかと思う。平易な会話を通して人生哲学論を淡々と述べる「哲人」の言葉に「はっ?!」とする人は案外多いのではないかと思う。

 もともと心理学に興味が有る人にも、全く興味が無い人にも、1つの人生論として本書を一読することをオススメしたい。「人生における最大の嘘」とは何か? その解答を発見するだけでも一読する価値はある。

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