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2014年6月

「ゼロサムゲーム」政策に邁進する政府

2014062201■「パチンコ税」の導入によるパチンコ店のカジノ化

 来年(2015年)から徐々に法人税を20%台まで引き下げることがほぼ決定ということで、政府はその税収の穴埋めのために「パチンコ税」の導入を検討しているらしい。曰く、「1%のパチンコ税の導入で2000億円の増収」とのことらしい。

 この導入の影には例のカジノ法案も関係しているらしく、カジノ内での換金制度を設けるのに便乗する形で、パチンコ店にも「換金免許制度」を導入し合法的なカジノ化を目的としているとの声もある。
 世の中にはパチンコ嫌いが多いので、「パチンコ税なら大いに結構」と言う人が多いかもしれないが、逆にパチンコ依存症のような人には「冗談じゃない!」と憤っている人も多そうだ。

 個人的には割りの合わないギャンブル(パチンコ)には興味が無いので、別にパチンコ税が導入されようと何の文句もないのだが、「取れる所から取ればいい」という政府の安易な姿勢には賛同しかねる部分もある。「取れる所から取ればいい」というような考えが当然になってしまうと、終いには「スマホ税」の導入などと言い出す可能性もある。

 ギャンブルではないが、今年から株式投資にかかる税金も10%から20%に跳ね上がった。正確には「元に戻った」と言うべきなのだが、この20%の課税というのは、実際に体験すると「高過ぎるのではないか?」というのが正直な感想でもある。

 毎年6月になると、投資している上場企業から株主総会の案内や決算報告書が届くことになっている。株式投資を行っている人であれば、これは当たり前の話なのだが、今年の配当金は20%の税金が天引きされており愕然となった人も多いと思う。
 配当以前に、株式売却時のキャピタルゲイン税も今年からキッチリ20%引かれることになったので、これは流石に株式市場に悪影響を及ぼすのではないか?と危惧していたのだが、どういうわけか現在の日本の株式市場は上昇基調にあり、それほど悪影響が出ていないようにも見える。

■時代錯誤な認識から生じる矛盾した課税制度

 それはさておき、リスクを背負って企業に投資するからには、その投資資金がゼロになっても文句は言えない。それが投資家の暗黙の了解事項(ルール)であり、また気概でもあるのだが、その賭けで儲けたお金に20%もの税金を課するというのは、やはり抵抗がある。ただでさえ、投資資金がゼロになるかもしれないという大きなリスクを背負っている投資家に対し、資金がゼロになっても何の保障もないのに、運良く利益が出た時だけ、20%の利益(マージン)を無条件に分捕る姿勢には違和感を感じる。

 実際、アメリカやイギリスのキャピタルゲイン税というものも、所得に応じて段階的にとはいえ最高20%以上課されるそうなので、日本のキャピタルゲイン税が格別に高いというわけでもないらしい。しかし日本の場合、所得税は累進課税なのに、キャピタルゲイン税には累進制は導入されず、一律20%固定になっている。

 政府が成長戦略と称し「株式市場の活性化」を唱うのであれば、一般投資家の裾野を拡げるためにも、キャピタルゲイン税というものも、ある一定の運用金額までは無税か低率課税にした方が良いに決まっているわけで、キャピタルゲイン税に一律平等の高税率を課するというのは矛盾している。「NISA(ニーサ)がそれに該当する」という声も聞こえてきそうだが、ここで述べているのは、もっと自由度の高い制度を意味する。

 この矛盾を生んでいる背景には「株式投資を行っている人は富裕層」というような時代錯誤な認識が有るのではないかと思う。「株式投資を行っている人はお金に余裕の有る人だから、全員に最高税率を課せばいい」というような思い込みが有るのかもしれない。
 私は基本的に社会主義的な累進課税制度にはあまり良い印象を持っていない。しかし、キャピタルゲイン税に関しては10%までなら一律で構わないが、10%以上にするのであれば累進課税でもよいと思う。

■「ゼロサムゲーム思考」から脱皮できない政府

 パチンコも株式投資も同じギャンブルとして考えれば、パチンコで儲けたお金に1%の課税というのは、まだカワイイものかもしれないが、一度、「パチンコ税」なるものが導入されてしまうと、その税率はどんどん上がっていくことになると思われる。おそらく来年からの中途半端な法人税減税が災いして法人税収は数兆円落ち込むことになるだろうから、たかが2000億円の増収では満足できるわけがなく、実際に1%の「パチンコ税」だけでは落ち込んだ税収の穴埋めには程遠い。

 パチンコにせよ株式投資にせよ、今や庶民の遊興であり、金持ちだけが行っている道楽ではない。そんなところに一律平等な税率を課するということ自体が、時代に逆行しているとも言える。
 企業や庶民から税金を分捕ることを考えずに、経済を活性化させることによって税収を増やす。それが政府が採るべき本来の成長戦略のはずだが、現在の政府の考えは、ただのゼロサムゲーム思考に堕しているようだ。「パチンコ税」などという言葉が浮かんでくること自体が、そのことを如実に物語っている。

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