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BOOK『GHQの日本洗脳』を読んで。

■タブーではなくなった「GHQ」

 年の瀬を迎え、ようやくまとまった時間が出来たので、たまりにたまった何冊かの積読本を読み終えた。私の場合、本を読むペースよりも本を買うペースの方が早いので、放っておくと、どんどん本がたまっていくことになる。現状でも100冊以上の本が積読状態なので、この年末年始に少しは積読本を減らそうと思っているのだが、既に数冊の本を買ってしまったので、結果的には増えてしまうかもしれない。

 さて、そんな中、本日にようやく読み終えた本『GHQの日本洗脳』(山村明義著)の感想を少し書いてみたいと思う。
 「GHQ」と聞くと、「何それ?」という人もいるのかもしれない。マスメディアでは、ほとんどタブー視されてきた言葉なので、これまで「GHQ」に関する書籍というものも、ほとんどお目にかかれなかったのだが、最近では本書も含め、以下のような一般書も何冊か刊行されている。

■手塚マンガを検閲していた「GHQ」

 私もブログ記事で「GHQ」のことに少しだけ触れたことがあるが、GHQが具体的にどれだけの広範囲で活動を行っていたのかは知らなかったので、本書を読んで初めて知ったことも多い。
 戦後のマスメディア界や教育界にGHQの影響が及んでいることはよく知られたことなので敢えて取り上げないが、その他の意外なところにも悪影響を及ぼしていることがよく解った。
 「少子高齢化の原因は?」「学校給食はなぜパンになったのか?」「戦後の住宅設計はなぜ2DKになった(狭くなった)のか?」「なぜ日本の政治には意思決定力がないのか?」などなど、非常に興味深い考察(と言うより事実)が書き連ねられている。

 中でも驚いたのは、漫画家の手塚治虫がGHQから嫌がらせを受けていたという事実で、実は手塚マンガにもGHQの検閲が入っていたらしい。

 GHQによる洗脳プログラムにマンガが邪魔だったというのは驚きだが、現代の人間からすると、なるほどなとも思える。当時の日本人でそのことが解った人はおそらく皆無に近かったであろうことを考えると、敵ながらアッパレとも思えてしまう。こういう心理作戦においてアメリカは日本とは比べ物にならないほど進んでいたということなのだろう。(注:私は反米主義者ではありません)

■現代の子供は「正義」をどこで学ぶか?

 戦争を知らない現代の日本人は「正義」というものをどこで学ぶのか?と考えると、「漫画」や「映画」と答える人は案外多いのではないかと思う。親の教育や学校の教育だけで「正義」を学ぶというのは難しいかもしれない。
 両親は共働きで休日以外はほとんど接する時間がないという子供も多いだろうし、宗教や道徳に無縁の親が「正義とは何か?」というようなことを具体的に教えることは難しい。
 学校はと言えば、いじめを見て見ぬふりをする(これもGHQと無関係ではないのだが)ような教師に「正義とは何か?」を教えるというのは酷というものだろう。
 となると意外にも、漫画や映画やゲームから「正義」を学びとる子供は多いのではないかと思う。

 かつてGHQに検閲されていた日本の「漫画」や「映画」は、現代では表現の自由が許されている。検閲が入るのは過激な暴力描写や性描写がある場合だけであり、その検閲もGHQが行っているわけではない。
 もし、現代でもGHQが存在しているなら、「正義」を描いたハリウッド映画が日本で上映されることはないだろうし、『永遠の0』のような映画が上映されることもなかっただろう。中国のように『アバター』を上映禁止にしたというような国では自国による検閲が実際に行われているわけだが、今や日本ではアメリカで上映禁止になるような過激な映画でも上映されることがある。

 こういった事実からも分かる通り、既にGHQの検閲は存在しておらず、GHQという組織自体もとうに存在していない。本書にも書かれている通り、存在しているのはGHQの「呪縛」という名の亡霊のみなのだが、この亡霊が現代に至っても多くの禍いを齎している。その亡霊のまたの名を「戦後レジーム」と言う。

 本書は少し専門用語が多く、入念に読むのは疲れる書物というきらいはあるものの、著者の実直な姿勢が感じられる良書だった。知的好奇心が旺盛な人だけでなく、今だからこそ読めるようになった「時勢の書」として、多くの人に読んでいただきたいと思う。

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