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前代未聞の「人為的バブル維持」に挑む中国

■中国の異次元処罰

 昨年(2014年)の夏頃から1年も経たないうちに2.5倍にまで急騰していた中国(上海総合)株価は6月に5000元辺りで天井を付けた後、あれよあれよという間に3割急落した。長期的なチャートで見れば、未だに高値圏(半値戻しの調整局面)にあるとも言えるのだが、その状態を維持できているのは上海市場が当局(中国証券監督管理委員会)の管理下に置かれているからであり、まともな株式市場であれば、全値戻し(所謂「往って来い」)になっていてもおかしくない。

 8月8日に発表された「持ち株5%の大量保有株主(大株主)の株式売却を6ヶ月間禁止する」という措置にも驚かされたが、8月21日には再度「規則(?)に違反して上場企業株式の保有量を減らした株主を厳格に処分する」と伝えられた。
 ここでいう「規則」というのは、先に決められた大株主の6ヶ月間以内の株式売却禁止措置のことだと思われるが、もしこの措置の適用範囲が海外投資家にまで拡大するということであれば、無茶苦茶もいいところだ。

 株式市場の「規則」に違反しているのは、自国オリジナルの株式売買における処罰ルールを後出しジャンケンで作っている中国当局の方だと言える。
 この処罰ルールを喩えて言うなら、カジノで大儲けした常連さんをカジノ内に閉じ込めるという「規則」を設けたようなものだから、この先、上海市場にはまともな上客(大口投資家)は誰も寄りつかなくなる可能性が高い。

■バブルを破壊した日本とバブルを維持する中国

 この1年間の上海市場は、どう贔屓目に見ても明らかにミニバブルであったので、そのミニバブルが弾けるのは仕方がない。しかし、バブルでもない日本の株式市場にまで悪影響を与えるのは勘弁していただきたいものだ。
 一説では中国の個人投資家は2億人(注)も存在するということなので、それだけの投資家(実質は投機家)が一斉に売りに回れば、短期間でミニバブル崩壊ということも有り得た。しかし世界一般の常識の蚊帳の外にある中国の統制株式市場では、人為的にバブルが維持される。

(注)中国の公称なので、正しい数字という保証はない

 そう考えると、ある意味、日本とは対称的だなと思える。かつて(1990年代)、バブルを人為的に破壊した日本と、バブルを人為的に維持する中国、日本の株式市場はハードランディングしたが、中国の株式市場はハードランディングせずにソフトランディングで済んでいる。中国の場合、バブル相場を人為的に創造することと維持することは有り得ても、人為的に破壊することはない。
 中国当局は、個人投資家のことなど全く考えてはいないだろうけれど、結果的に個人投資家には売り逃げるチャンスを与えているようには見える。大株主の利益を個人投資家に強制的に分配していると考えれば如何にも中国共産党らしい株価政策だ。無論、皮肉だが。

 通常、バブルというものは市場原理によって崩壊するものだが、中国市場は市場原理が通用しない特殊な官製市場なので、バブルの崩壊すら食い止めようとする。
 日本の場合、市場原理に任せればバブルはソフトランディング的に崩壊したはずだが、市場原理を無視して、お役人の規制によって強制的にバブルをハードランディングさせた。

 バブルを破壊した日本と、バブルを維持する中国、不謹慎ながら、株式市場に限って言うなら、どちらが庶民の味方か分からない気もする。

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中国発の世界同時株安はどのようにお考えでしょうか?

投稿: | 2015年8月25日 (火) 14時31分

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