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「貸し金庫業者」となった日本の銀行

■定期預金者がいなくなる時代

 日銀がマイナス金利を発表した後、日本の銀行は挙って預金金利を現行の半値以下に引き下げた。今後は普通預金金利が0.001%、定期預金金利が0.01%というのが平均的な水準となるらしい。
 様々なニュースやブログで報じられているので、今更、書くまでもないのだが、備忘録として具体的な金額を表記しておくと以下のようになる。

 100万円普通預金すると、年間10円(税引8円)の金利

 100万円定期預金すると、年間100円(税引80円)の金利

 こうなると、もう利子は無いと思った方がよいかもしれない。元々、雀の涙にも満たなかった低金利が、蟻の涙レベルにまで下がってしまったと言っても決して言い過ぎではないと思う。ここまで低金利だと、企業の給料振込制度も、そのうち現金手渡し制度に先祖返りしてしまうのではないかと思われる。預金金利は下がってもコンビニ等のATM手数料は下がらないので、普通預金はともかく、定期預金するような人はほとんど誰もいなくなるのではないだろうか。

 バブルの頃は、100万円を定期預金すると、10年間の複利で1.5倍以上になるというような景気の良い話もよく聞かれた。1億円を定期預金すると、年間4〜500万円の金利が付いたそうなので、その金利だけで生活しているという人もいたらしい。ちなみに、バブルの頃(1990年)の預金金利は以下の通り。

 100万円普通預金すると、年間2万円(税引前)の金利

 100万円定期預金すると、年間6万円(税引前)の金利

■銀行の役割は既に「貸し金庫」になっている

 今後は、1億円定期預金する人がいたとしても、年間利息は1万円(復興特別所得税0.315%も含めると手取りで7,968円)にしかならない。もっとも、余剰資金が1億円もある人なら普通は株式投資でもすると思う。どんな暴落相場でも長期的に買い下がる勇気と含み損に耐える忍耐力と銘柄のスクリーニングさえしっかりしていれば90数%は勝てる(と思われる)ので、数%程度のリスク管理ができる人であれば、端からゼロリスクの超低金利預金などに興味は無いかもしれない。

 優良企業の株式配当金が年率2〜3%程度と考えても、1億円で年間200〜300万円の配当金があるわけだから、数%のリスク管理報酬と考えれば、充分なリターンだ。
 しかし、そんな人(余剰資金が1億円もある人)は人数的にも限られているので、マイナス金利で余剰資金が直ぐさま株式投資に向かうという考えは少々、短絡的過ぎるかもしれない。
 「日本の株式市場は世界一不安定な市場」とも揶揄される通り、短期的に見れば、ただの博打市場と化している(空売り比率が常時40%以上というのがその証拠)ので、少額の投資はリスクが高過ぎるとも言える。
 日本人のマスコミ情報に流され易い付和雷同気質とパニック気質を利用して利鞘を稼いでいる投機筋もいるようなので、そんな市場にノコノコ参入しても、パニック売りさせられるのがオチかもしれない。

 ただ、銀行の預金金利が暴落したという理由で、余剰資金までもわざわざ銀行から引き出そうとする人はあまりいないのではないかと思う。現在でも多くの人々が銀行にお金を預けているのは、金利目当てではなく、「お金を安全に預かってもらう」という理由のためであり、貸金庫的な意味合いで利用している人がほとんどだろうと思う。

 マイナス金利発表後は、自宅に置く金庫がバカ売れしているそうだが、金庫が有ることで逆に泥棒に入られ資産を失うリスクは高まるし、火事や地震などの天災で金庫ごと失うという事態も全く起こらないとは言えないので、今後も銀行をお金の貸金庫として利用する人は一定数いると思う。そのうち、手数料だけでなく貸金庫料も請求されるかもしれないが…。

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