« 「iPhone」という名の禁断の果実 | トップページ | アンタッチャブル教育が齎した「体罰・暴言事件」 »

アベノミクスと消費増税問題の本質【経済政策とは何か?】

■「増税しなければアベノミクス失敗」という詭弁

 先月中旬から下旬にかけて各新聞の一面に「消費増税先送り」という文字が踊った。産経新聞に至っては「消費税10%再延期へ」と、既に決定事項であるかのようなタイトルが掲載されていたが、真偽のほどは未だ判っておらず、ガセネタだったというような意見も聞かれた。

 政府の公式発表では「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り消費増税を行う」ということになっている。
 しかしながら、「火の無い所に煙は立たない」という前提に立てば、おそらく消費税の増税延期を匂わせるようなやり取りがどこかで有ったのだろうと推察する。
 わざわざ、スティグリッツ氏やクルーグマン氏に相談するまでもなく、日本経済の現状を鑑みれば、誰が考えても増税延期は止むを得ないと思えるのだが、凝りもせずに2年前の増税延期時と同じような批判が出ているようだ。曰く、「約束通り、増税しなければアベノミクスの失敗を認めたことになる」と。

 2年前にも指摘したことだが、この批判は、ただのレトリック(論理の摺り替え)でしかない。しかも、増税しようが増税しまいが、どちらに転んでも批判ができるという悪知恵を忍び込ませたレトリックだ。

■最善策(経済政策)と次善策(消費税増税)

 そもそも、経済政策(この場合はアベノミクス)とは何だろうか? 経済政策が成功する場合と失敗する場合とは如何なる状況のことを指すのだろうか?

 「経済政策」とは、読んで字の如く「経済的な策を講じること」であり、その目的(景気を良くすること)を達成するために最善の策を練り不退転の決意で実行することが重要となる。ゆえに、政策を実行するにあたっては、目的達成を阻む1点の曇りも無視してはいけない。消費税増税などというものは、まさにその目的を阻害する最大要因であり、1点の曇りどころの話ではない。

 経済政策が成功した暁には、国民の生活がより良くなることは言うまでもないことだが、逆に失敗した場合には、万策尽きたという意味で国民に負担を強いることになる。消費税増税は、言わば、万策尽きた場合の次善策であり、決して最善策と同時に実施するような代物ではない。

 ここで先の文章(詭弁)に戻ってみよう。

 「増税しなければアベノミクスの失敗を認めたことになる

 上記に照らせば、この言葉が如何に間違っているかが解ると思う。
 正しく言うなら、
 「アベノミクスの失敗を認めれば、増税しなければならないことになる
 言い換えると、
 「増税すれば、アベノミクスの失敗を認めたことになる

 このように言わない限り、経済政策の批判としては成り立たない。

■経済政策は10年スパンで考えるべき

 アベノミクスと消費増税問題の本質は、経済政策(アベノミクス)の成功・失敗にあるのではなく、経済政策の読み間違い(認識不足)にこそあると思う。
 アベノミクス肯定派とアベノミクス否定派の双方に言えることは、“経済政策が2〜3年で結果が出る”というような考えに基づいていることだと言える。しかしながら、2〜3年で出るのはせいぜい“兆し”のみであり“結果”ではない。まず、この考えを改める必要があると思う。
 経済政策の結果が2〜3年という短期間で直ぐさま出るようなら誰も苦労はしない。日本が現在のような経済状態になるには数十年という長い年月がかかっているのだから、その重病を治すには10年単位でじっくり腰を据えるのが本筋というものだろう。2〜3年で成功するとか、2〜3年で失敗したというのは、あまりにも視野が狭過ぎると言える。

 人間の精神状態も、悪くするのは簡単だが、良くするのは難しい。
 「経済政策が成功する・失敗する」というのは、「国民の思考が変わる・変わらない」と同義語であり、人間の心が2〜3年で簡単にコロコロ変わるという考えが可笑しいのと同様に、景気が2〜3年で簡単にコロコロ変わるという考えも可笑しい。
 まず、このせっかちな考え方を改めない限り、いつまで経っても堂々巡りの無意味な論争に陥るだけだろうと思う。

にほんブログ村 経済ブログ 日本経済へ
にほんブログ村

|

« 「iPhone」という名の禁断の果実 | トップページ | アンタッチャブル教育が齎した「体罰・暴言事件」 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

〉消費税増税は、言わば、万策尽きた場合の次善策であり、決して最善策と同時に実施するような代物ではない。

筆者のこの考えが論理展開の誤りにつながっています。
社会保障費の増大と財政再建の観点から増税は必須で、万策尽きて実施するものではありません。タイミングは慎重にすべきでしょうが。

投稿: また違う | 2016年4月 4日 (月) 08時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/63432880

この記事へのトラックバック一覧です: アベノミクスと消費増税問題の本質【経済政策とは何か?】:

« 「iPhone」という名の禁断の果実 | トップページ | アンタッチャブル教育が齎した「体罰・暴言事件」 »