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暴言王トランプの強かな選挙戦略

■「黒船」としてのトランプ氏

 「暴言王」の異名を持つ次期アメリカ大統領候補者であるドナルド・トランプ氏に再び熱い注目が集まっている。当初は泡沫候補の1人と目されていたトランプ氏だったが、共和党候補指名が確実となった時点で、彼が大領領の椅子に座るという、およそ現実味の無かった未来像が、朧げながらイメージできる程に現実味を帯びてきたというところだろうか。

 トランプ問題に関して、現在、日本で最も話題になっているのが「在日米軍撤収論」だ。トランプ氏が、どこまで本気で言っているのか判らないが、在日米軍の存在を損得勘定で考える辺りは実に実業家(不動産王)らしい発想だと言える。
 ここ数年で日本でも、日米安保条約による安全神話の不確実性が議論されるようになってきつつあったが、ここにきて次期アメリカ大統領候補者の口から発せられた言葉が持つ意味は想像以上に重い。

 もし、これが本気の発言だとすれば、日本の防衛上、由々しき事態だと言えるが、現状では、選挙戦で注目を集めるためのブラフ(ハッタリ)という可能性も否定できない。無名の政治家が世間の注目を集め、大領領までのし上がっていくためには、それなりの選挙戦略が無ければ不可能に近いことなので、トランプ氏にとっては「暴言」こそが注目を集める最大の武器だったとも考えられる。実際のところ、トランプ氏が他の候補者と同じように当たり障りのない常識的な発言ばかりしていれば、本当の泡沫候補者で終わっていたことだろう。
 常軌を逸脱した破天荒な暴言の数々も選挙に勝つためには必要なことだったとは考えられないだろうか?

 しかし、仮にトランプ氏の暴言がデフォルメされた誇張を多分に含んだ言葉であったとしても、堂々と本音を述べる大領領候補者が出てきたことは、国内外に大きな波紋を呼ぶに十分な破壊力を秘めている。トランプ氏の開けっ広げな本音トークは、平和ぼけした日本の「太平の眠り」を覚ます黒船の役割を果たすことになるかもしれない。

■反米論者にとってトランプ氏は「獅子身中の虫」

 アメリカ側から「在日米軍を撤収する」などと言われると、これまで米軍の撤退を声高に叫んできた反米左翼陣営の人々は歓喜の涙を流して喜ぶのかと思いきや、そういった声は全くといっていいほど聞こえてこない。本来なら、トランプ大領領熱烈歓迎デモ応援ビラ配りでも行うのが筋だと思えるのだが、どういう訳か、今回に限り感情的にはならず、冷静に事態を見守っているかに見える。

 思うに、彼らにとっては、思想や理想がどうのと言うよりも、単に本音を述べる人物が煙たいだけなのではないだろうか?
 たとえ、彼らにとって米軍撤収が喜ぶべき事態(実際は最悪の事態を招くトリガーになる危険性が有るのだが)だったのだとしても、将来的に、自分達の矛盾した行動を本音でズケズケ糾弾するような権力者が出現することは問題だと察しているのかもしれない。味方だと思っていた人物が敵になる可能性を秘めているという意味では、トランプ氏の姿に「獅子身中の虫」的な恐怖を潜在的に感じているのかもしれない。
 現状を観察していると、そういう意味合いで沈黙を守っているのではないかと勘ぐりたくもなる。

■暴言から生じる「嘘から出た実」

 アメリカにとって、米軍が日本に駐留していることは、損得勘定だけでは評価できないことであり、それなりの軍事資金が必要になったとしても意味のあること(=投資)だからこそ維持されてきたという側面がある。
 その主な理由は、日本の共産主義化を防ぐためであり、中国や北朝鮮から日本を守ることは、自国(アメリカ)を守る思想戦という意味でも大きな意義があった。自腹を切って駐留費を支払ってもお釣りが出るくらいに割に見合った軍事投資でもあったわけだ。
 今、在日米軍が本当に撤収してしまえば、高い確率で日本は共産主義勢力に呑み込まれてしまうことになるので、これまでの投資がパーになってしまう危険性がある。
 アメリカで実業家として成功した投資家のトランプ氏が、そんな単純なことを知らないとは思えないので、おそらく無知な有権者を鼓舞するためのリップサービスで大言壮語している可能性が高いと思う。

 どんなハッタリや嘘であったとしても、人々は本音を述べることができる大統領を待望しているのであり、その風潮を敏感に感じとったトランプ氏の強(したた)かな選挙戦略として「在日米軍撤収論」が浮上したと考えた方が理に適っていると言える。

 しかし、たとえ嘘や誇張であったとしても、顕在化した本音が齎す影響は軽いものでは済まないかもしれない。日本側は、落としどころとして、在日米軍駐留費として幾分かの追加資金を本当に用意しなければならなくなるかもしれない。
 このままいくと、投資家トランプ氏は、投資した資金と冒したリスク以上の利益と名誉を回収することになりそうだ。まあ、それで日本の安全が保障されるのであれば、安い買い物と言えるのかもしれないが…。

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