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BOOK『劣化左翼と共産党』を読んで。

■劣化左翼が注目される時代

 「リベラル」はともかく、「左翼」などという言葉が普通(?)に語られるようになったのは、つい最近のことかもしれない。マスコミでは禁句になっているのか、全くと言っていいほど聞かれない言葉だが、ここ数年、保守的な論調も聞かれるようになり、そんな世相を反映してか、「リベラル」や「左翼」という言葉を用いた書籍(主に批判本)も相次いで出版されている。関連書籍を年代順に新しいものから並べてみよう。

 ○「リベラル」がうさんくさいのには理由がある(2016.5)

 ○さよならパヨク(2016.4)

 ○劣化左翼と共産党(2016.3)

 ○反米という病 なんとなく、リベラル(2016.3)

 ○リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください(2015.6)

 ○左派リベラル勢力の言説は見事に嘘だらけ(2015.4)

 ○戦後リベラルの終焉(2015.4)

 ○戦後日本を狂わせた左翼思想の正体(2014.10)

 ○左翼はなぜ衰退したのか(2014.9.30)

 他にも多々出版されているが、主立ったものは、こんなところだろうか。

 上記の半分程度は既読済みだが、最近、3番目の『劣化左翼と共産党』(山村明義著)を購入して読んでみた。山村氏の著書を読むのは『GHQの日本洗脳』に次いでこれが2冊目だが、ソフトカバー本であるせいか、前著よりは一般向けに書かれており、真面目な中にもユーモアが感じられる面白い本だった。
 著者の山村氏が「左翼用語に馴染みのない方にもできるだけわかりやすくした」と言うだけあって、平易な言葉で書かれているので読み易い。

 個人的には、次の3点が興味深かった。

 1、日本での最初の左翼は「石川五右衛門」

 2、共産主義はデフレ不況の時に増大する。

 3、左翼の人達は普通の人が分からない難しい文章を書く人が多い。

 石川五右衛門は、権威や権力者を嫌い、自分自身が逆にその地位に就くことを願っていた人物ということらしい。権威や権力を嫌うだけなら左翼とは呼べないが、“権力を手に入れたい”という内に秘めた欲望のために権力者を嫌う人は左翼と呼び得るわけだ。
 権力が欲しいから権力者を批判し、お金が欲しいからお金持ちを批判する。しかし、その屈折した欲望のためか、大抵はその両方とも手に入れることができない。

 「マルキストはデフレを好む傾向にある」ということは少し前の記事で触れたところだったが、なぜそうなるのかの理由が本書に書かれていた。
 「マクロ経済学に弱い人はマルクス経済学を信じてしまう」という考察も面白い。

 左翼の人達が難解な文章を書くというのも昔から思っていたことで同感だった。
 左翼の人達は、難しいことを簡単に書くのではなく、簡単なことを難しく書く才能に長けている人が多いのだが、それが昔のインテリ(後述する)の条件だったのかもしれない。

■マルクス=レーニン主義はヘルペスのようなもの

 本書でも述べられていたが、マルクス=レーニン主義はよくウイルスに喩えられることがある。世の中が不況になると、流行り病の如く出現し、まるで免疫力の落ちた人がヘルペスを発症するかのように、激しい痛みとともに赤い発疹が突如として吹き出す。
 恐慌と戦争の世紀と言われた20世紀では、マルクス=レーニン主義という思想的な伝染病が全世界の多くの人々をマインドコントロール下に置いた。20世紀も終わり頃を迎えると、その真っ赤な思想は音を立てて崩れ落ちたかに見えたが、実際は残存していた。その思想はヘルペスウイルスと同様に、身体の内側で息を潜めているだけであり、免疫力が低下した時(景気が悪くなった時)には、ここぞとばかりに活発化し、何度も表側に出ようとする。この10年間でも、リーマンショック時や東日本大震災時に顕著に見られた現象だ。

 景気が悪くなる状態というのは、人体に喩えて言うなら、身体の血の巡りが悪くなり不健康になった状態を意味する。景気が悪くなれば、失業者や貧困者が増加し、おのずと人々の嫉妬心は増幅していくことになる。その嫉妬の炎を媒介して激しく燃え上がるのがマルクス思想の悪しき特徴でもある。

 マルキスト達は本人にはその自覚が無くても、深層心理では不況になることを願っている。彼らの言動を傍から眺めていると、無意識の内に景気が悪くなることを望んでいるかのように見えることがままあるが、それもそのはずで、景気が良くなれば、自然と人々の嫉妬心も鎮まっていくことになり、彼らにとって都合が悪くなるためだ。
 景気が良くなることよりも景気が悪くなることを暗に願うような人々が権力を手中に収めるようなことになると、多くの善良な国民は必要の無い塗炭の苦しみを味わうことになってしまう。かつてのソ連や現在の北朝鮮が良い例だ。

 日本は昔(戦後)、「左翼でなければ知識人ではない」というような言葉が流行ったとか流行らなかったとか…、いずれにしても、左翼であることがインテリの条件というような風潮があったらしい。本書にも「インテリ」という言葉の語源はロシア語の「インテリゲンチャ」と書かれてあった通り、マルクス=レーニン主義が、かつての日本のインテリ左翼を産んだと言っても決して言い過ぎではないと思う。

 左翼はなぜ劣化したのか? その原因を、思想にまで踏み込んで鋭く暴いている本書は、左翼研究(批判)本の決定版と言える。

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