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BOOK『歯はみがいてはいけない』を読んで。

■「食後すぐに歯みがきしてはいけない」が世界の常識

 昨年の夏頃に発売された新書『歯はみがいてはいけない』(森 昭著)を読んでみた。

 本書のタイトル「歯はみがいてはいけない」というのは、もちろん誇張表現であり、言葉を端折らずに正しく書くならば、「歯は(食後すぐに)みがいてはいけない」となる。
 それでも、「えっ!?」と驚く人が多そうだが、本書によると、食後すぐに歯みがきする習慣がある国は「日本」と「韓国」だけであるらしい。無論、日本と韓国が世界に先んじて食後に歯みがきを行うようになったという美談ではなく、その逆で、世界の常識から隔絶してしまったという意味である。
 韓国の場合は、日本の歯みがき文化を真似たそうなので、食後に歯みがきする習慣を最初に作り出した国は「日本」ということになる。翻って、世界に目を向けてみると、「食後すぐに歯みがきしてはいけない」という真逆の常識が根付いているらしい。

 ではなぜ、日本でそのような特異な習慣が出来上がってしまったのか?と言うと、1960年代に始まったとされる「3・3・3運動※」というものが提唱されたことに依る。それ以来、この運動が国民の間で“常識”として根付いてしまい、歯みがき習慣に関してもまた、日本の常識だけは世界の非常識となってしまったというわけだ。

※「毎食後3分以内に3分間、一日3回歯をみがこう」というキャンペーン

■「3・3・3運動」から生まれた悪弊

 私の場合、いつの頃からか朝起きてすぐ歯磨きし、就寝前に歯磨きするという習慣が出来上がっていたので、運良く驚かずに済んだが、自らの歯みがき習慣が世界の非常識だったことを知って「えー?!」と驚いた人も結構いるのではないだろうか?

 夜間、寝ている間に口腔内に雑菌が大量に繁殖しているので、朝起きて歯を磨かないまま食事をすると気持ちが悪いし、寝る前も口の中を清潔にしておかないと余計に雑菌が繁殖しそうなので歯を磨く。普通に考えれば、これはごく自然に根付くべき習慣だと思われるのだが、日本ではそうはならなかった。
 良かれと思い人為的に作られた習慣(この場合は「3・3・3運動」)が、皮肉なことに当たり前の習慣が定着することを阻害し、間違った悪習慣を根付かせることに役立ってしまう。こういった悪弊を回避するためには、常に世の中の常識というものが、いつ、どうやって生まれたのか?ということに思いを巡らせる必要がある。

 実際は、雑菌が気持ち悪いというような感覚的な理由だけでなく、食後すぐに歯みがきしてはいけない科学的な理由も本書には詳しく書かれている。詳細は本書に譲らせていただくが、間違った歯みがき習慣を何十年も続けてきた人々にとってはショッキングかつ有益な情報が書かれている。

■「増え過ぎた歯科医」と「安過ぎる治療費」が齎した悲劇

 朝食を食べる前に歯みがきすると、食事の味が変わってしまうので、仕方なく食事の後に歯をみがいているという人は多いと思う。歯をみがいた後は、歯みがき粉に含まれている界面活性剤やメントール成分が口中に残っているので、食事が苦く感じる。そのため、食前はうがいだけにして、食後に歯みがきする習慣が身に付いたという人も案外多いのではないかと思う。
 私の場合、この(苦い)問題をクリアするために「せっけんハミガキ」を使用している。これだと、ほとんど無味無臭なので、食前に歯みがきしても、食事の味は損なわれないのでオススメだ。

 本書には、現在の歯科業界が陥っている問題点もいくつか指摘されている。アメリカでは1本の歯の根を治療するのに10万8000円かかるが、日本では5800円らしく、20倍近くもの差があるらしい。国民皆保険制度のおかげで治療費が(他の国と比較して)安価に成り過ぎているためか、歯科医には様々なジレンマもあるらしい。

 私も何年か前に、歯の詰め物が1年で取れたので歯医者に行った。その詰め物をした当の歯医者だったのだが、いつまで経っても治療完了とならず、通う度に「あと何回です」とどんどん延びていったので、途中でお断りしたことがある。1回や2回で終わりそうな治療をどこまで引っ張るのか?と疑念を抱き、患者を無視した押し売り的な姿勢に憤りを感じたことを覚えている。
 そういった出来事もまた、増え過ぎた歯科医と安過ぎる治療費が齎した悲劇であったのかもしれない。

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