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「タクシー料金改定」で考える「ブックオフの価格改定」

■タクシー初乗り運賃410円の是非

 東京都心部で実施されたタクシー初乗り運賃410円の導入で、タクシー利用者数が増加したことが判明した。今のところ、賛否意見が定まらず二転三転しているものの、最終的には良い結果を生むことになりそうだ。

 実際のところ、初乗り730円というのは少し料金が高過ぎるわけで、「ちょい乗り」するには敷居が高い。730円も支払うなら「歩いて行こうか」という心理が働くことは否定できない。2km以内は全て一律料金(730円)というのも問題で、1kmや500mしか乗らない人にとっては、「歩いて行こうか」ということになってしまう。

 初乗り運賃410円にすれば、利用者数が増えることはテストするまでもないことで、問題となるのは、トータルの売上が上がるかどうかだ。410円にすることによって失われる利益分を集客数によって補えるかどうかが最大の問題点なわけだが、これもおそらく問題ないだろうと思われる。

 以前、「ワンコインタクシー」というものが問題になったことがあった。今回の初乗り410円は「ワンコインタクシー」よりも安価なわけだが、値下げしてマイナスになった利益分を補う手段が講じられている。それは、言うまでもなく、中・長距離利用客の料金が上がることだが、この中・長距離利用客が減少するかどうか、成否の鍵はここにある。

 短距離(2km以内)の利用者は100%増える。これは間違いない。では、料金が値上げされる2km以上の利用者はどうなるか? おそらく、それほど減少しないのではないかと思われる。

 私も飲会がある時などは最寄りの駅から自宅までタクシーを利用している。駅からかなり離れているので、歩いて帰るわけにはいかないという理由もあるのだが、少し値上がりしても利用しないというわけにはいかない。
 短距離の場合は、タクシーを利用するか利用しないかという選択ができるが、長距離の場合は、タクシー以外に選択する手段がない場合が多いと思われるので、それほど減少しないだろう。実に単純な理由だが、案外、そんなものだろうと思う。

■ブックオフ古本価格改定の是非

 さて、前置きはこの辺にして本題に入ろう。タクシー料金の改定ではなく、ブックオフの価格改定に話を移そう。

 私も一応、個人投資家なので、バフェット氏に習って自分自身がよく利用する企業の株主になっている。ブックオフもよく利用するショップなので、応援の意味も込めて株主になっている。1株主として、複数の店舗の様子を覗きに行くこともある(もちろん買い物もする)のだが、どうもここ数年は古本の値上げが著しい感じがする。

 昔は市販価格の半額だったものが、最近では定価の2割引程度になっている場合が多い。店舗によって多少の価格差があるものの、値上げしていることは一目瞭然となっている。
 私の場合、新刊はリアル書店で購入するので、ブックオフに出たばかりの新刊等が置いていなくても特に問題はないのだが、消費者心理というものを考えると、これはどうなのか?と思うことがある。

 以前は100円で販売されていた古本が200円に値上がりしていることも多く見かける。
 100円の古本を200円に値上げしても「買わない」という人はそれほどいないと思われるが、半額だった古本が3割も値上げになった場合は「買わない」という人が結構いると思われる。
 アマゾンで古本を購入する場合、送料250円が一律にかかるので、たとえ価格が1円の商品だったとしても、ブックオフで200円で買う方が安い。だから、200円で販売することは(株主として)賛成だ。(消費者は反対かもしれないが)

 しかし、半額だった商品を2割引きまで値上げすると、今度は、「新刊を買った方がいい」と思う人が増えることになる。ブックオフの大株主には出版関連企業が多いので、それが目的なのかもしれないが、古本の販売業としては、少し矛盾を感じてしまう。

 多くの消費者は、「ブックオフで買うなら新刊を買った方がいい」と思っても、「アマゾンで買うなら新刊を買った方がいい」とは思わない。この矛盾をクリアしない限り、問題は解決されない。
 タクシー料金と同様、古本料金の改定も、成否の鍵を握っているのは消費者心理だと思われるので、消費者心理に則した改善を期待したい。

【関連記事】アマゾン1円販売モデルの行方

【追記】2017.2.13
(BLOGOS転載記事のコメントに対する返答になります)

>ブックオフは、家電からスマフォ、レコード、古着まで、なんでも扱う他品種へと拡大して乗り切ろうとしてますけど、成果はそれほどあがってません。
この状況では、主力の『古本』で利益をあげて穴を埋めるしかなく、値上げもやむなしでしょう。

 『古本』の販売が主力であるからこそ“消費者心理”を考慮した方が良いということであって、むやみに値上げすれば、返って売上が落ちる場合もあります。利益を求めて価格を上げれば、更に利益が逃げる。言わば、デフレスパイラルの逆現象です。

>ブックオフの買取価格が低すぎるという悪評で、売れ線の本をブックオフは確保できなくなっており、ある程度仕入れの供給を維持するためには、買取価格を上げねばならず、そのためには販売価格も上げざるを得ないのです。

 私自身、ブックオフに本を売ることもありますが、特に買取価格が上がっている様子はありませんが…。現場を見ずに憶測だけで批判するのは御遠慮願います。

>それならブックオフ側が自分たちでネットで売ったりした方が儲かるしその値段に店舗価格をあわせた方が合理的な気がする。

 ブックオフの筆頭株主はヤフーなので、もう随分前からブックオフはヤフオクでも古本を販売しています。

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コメント

追記しました。

投稿: 管理人 | 2017年2月13日 (月) 20時34分

確かに、最近急に強気の価格設定にしだしてゲンナリです。
価格を上げれば売り上げが増える、と考えているのでしょうか。

もうAmazonの1円書籍でいいや。

投稿: 大野 哲郎 (奈良市) | 2017年2月17日 (金) 13時32分

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