« 戦争(暴漢)を招き寄せる誤った価値観 | トップページ | 「北のミサイル」は忘れた頃にやってくる »

「報道しない自由」を謳歌する日米マスメディア

■「どっちもどっち」が意味するところ

 アメリカで発生した白人至上主義団体と、その反対派の衝突において、意見を求められたトランプ大統領は「どっちもどっち」と応えた。よく考えた上での発言だったそうだが、その紛らわしい言葉のせいか、リベラルメディアからは「言葉狩り」よろしく、「トランプは差別主義者だ!」と批判されて物議を醸していた。しかしそのヒステリー熱も少しは覚めてきたのか、ようやく擁護する意見もチラホラと出てきつつあるようだ。
 
 この「どっちもどっち」という意見は、「白人至上主義団体の差別意識は問題だが、だからと言って、彼らに対してむやみに暴力を振るっていいわけではない」という意味合いだったのだろうと思う。たとえ、悪人であろうと、思想的に間違ったことを言っている人であろうと、暴力で物事の解決を図るのは間違いだという、ごく当たり前のことを言いたかっただけだろうと思う。「双方に非がある」という発言は、日本流に言うなら、「喧嘩両成敗」という意味合いでのコメントだったのだろう。
 その証拠にトランプ氏は話の結びで「お互いの団結」を呼びかけたと言っているが、その部分はテレビ報道ではカットされていたらしい。

 建前だけを優先するなら、「白人至上主義団体は無条件に悪い」という風に応えていれば波風も立たなかったのだろうけれど、本音を優先するトランプ氏には偽善者のような歯の浮いたような台詞を吐くのは難しいことだったのだろう。もっとも、もし仮にトランプ氏が白人至上主義団体だけを否定していれば、「トランプは暴力で解決を図ることを肯定した!」などというダブル基準が用意されていたのかもしれないが…。

■差別を助長する「ポリティカル・コレクトネス」

 オバマ元大統領のように、自らの言葉ではなく、わざわざネルソン・マンデラ氏の名言を引っ張り出すような真似事をトランプ氏が行えば、彼を支持してきた本音論者達の目には、逆に「偽善者」のように映ったかもしれない。「暴力を振るった人間はスルーか!」と怒る人も出て来たことだろう。多くのトランプ支持者達はトランプ氏の嘘偽りない「本音」に期待しているわけだから、今回の騒動も、本当に本音を言っただけなら、そのうち誤解が解けてプラスに転じることになるかもしれない。

 そもそも、「差別は悪い」というのは当たり前のことであり、その当たり前のことを否定するようなことを一国の大統領ともあろう者が言うわけがないとは考えないのだろうか? 普通に考えると、なにかしらの誤解が生じているのではないか?という疑問が浮かんで当然だと思えるのだが、そういった疑念を全く無視し、いきなり「差別だ!」などと発言することの方がおかしいと思う。メディア側の人間は、そういった安易な「差別」発言こそが、逆に差別問題を助長することに繋がるとは考えないのだろうか?

 しかし、今回のこの騒動を観るにつけても、未だアメリカにおいても「ポリティカル・コレクトネス」は健在であることがよく分かる。昨日(22日)、産経新聞と読売新聞に「異常に歪んだテレビ報道」というカラーの全面意見広告が掲載されていて驚いたが、現在のアメリカのリベラルメディアも「トランプ憎し」の論調に傾いており、トランプに利することはなるべく報道しないという「報道しない自由」を謳歌している。

 これに対してトランプ氏は「メディア報道はフェイクニュースだ」と批判して応戦している。対立軸は少し違うとはいえ、アメリカも日本と同じような政治的問題を抱えていると言えそうだ。しかし、日本の場合は、マスメディアに対して勇ましく批判するような反骨精神を持った政治家はあまりいない。そういう意味では、やはりアメリカの方が「ポリティカル・コレクトネス」からの脱皮には前向きだと言える。
----------------------------------------------------------------------

にほんブログ村 経済ブログ 日本経済へ

|

« 戦争(暴漢)を招き寄せる誤った価値観 | トップページ | 「北のミサイル」は忘れた頃にやってくる »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/65701537

この記事へのトラックバック一覧です: 「報道しない自由」を謳歌する日米マスメディア:

« 戦争(暴漢)を招き寄せる誤った価値観 | トップページ | 「北のミサイル」は忘れた頃にやってくる »