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病膏肓に入る日本のリベラル

■『リベラルという病』と『「リベラル」という病』

 昨年、『リベラルという病』(山口真由著)という本が出たかと思うと、今年は『「リベラル」という病』(岩田 温著)という、ほとんど同名の書籍が出たので興味を抱き読んでみた。山口真由氏の本は主にアメリカのリベラルについて中立の立場で論じられた本だったが、岩田 温氏の本は、著者自らが述べられている通り、日本のリベラルを徹底的に批判するという骨太な本だった。

 しかし、「リベラル」=「病」としたタイトルの本が2冊も出るということは、それだけ現代の「リベラル」が特異な存在だということが広く認知されつつあるということなのかもしれない。

 日本には「病膏肓(やまいこうこう)に入(い)る」という諺がある。「膏」は心臓の下の部分、「肓」は横隔膜の上の部分、その部分には薬も針も通らないので、治療するのが極めて困難なため、治療の仕様がないことを意味した言葉だが、この2冊の本にネーミングされた「」という言葉には、そういった意味が込められているのかもしれない。

■「ガラパゴス左翼」にカテゴライズされた意外な人物

 本書には、「リベラル」にちなんで「ガラパゴス左翼」批判が実名で書かれていたが、まさか、あの博識で有名な著名人I氏がこのカテゴリーに入っているとは意外だった。ちなみにI氏は以前に「リベラル=左翼と呼ばれたくない人たちの自称。」と定義されている。

 私自身、I氏の本は1冊も読んだことがないので、I氏の思想が奈辺にあるのかは知る由もないが、岩田氏は図書館に籠ってI氏の膨大な著作を眼光紙背に徹して深く読み込まれたそうなので、そう思える何かがあったのかもしれない。

 岩田氏はI氏を「平家物語」に登場する「鵺(ぬえ)」に喩えている。「鵺」とは、顔は猿、体は狸、手足は虎、尾は蛇という正体不明のキャラクター(妖怪)だが、言っていることが「右」とも「左」とも受け取れるI氏の中立的な姿勢を「鵺」に喩えたのかもしれない。

 本書には、日本の立憲主義についても述べられており、吉田 茂の憲法解釈の変更によって日本の立憲主義は既に終わっているとも書かれている。
 立憲主義を破壊した政治家がいたとすれば、それはリベラルの言う安倍総理ではなく、吉田 茂だった。本来、持てないはずだった自衛隊を持てるようにし、敵が攻めてきた場合は戦えるようにしたのは吉田 茂だったというわけだ。
 「自衛隊は違憲だ!」と言わずして、「集団的自衛権の行使は違憲だ!」と言うのでは筋が通らない。「立憲主義を守り抜け!」と言うのであれば、まず自衛隊の存在についての自らの考えを示さなければならない。これはその通りだと思うが、こういった矛盾や欺瞞を知ってか知らずか都合よく無視するのが日本のリベラルの特徴なのだろう。

■リベラル政党を批判するリベラル政党の不思議

 ところで、日本では野党のことを「リベラル政党」と呼ぶ向きがあるが、アメリカで「リベラル政党」と言えば民主党になる。では、アメリカの民主党に近い日本の政党は?と言うと、実は「自民党」になる。このことは、先述した山口真由氏の『リベラルという病』にも書かれていたと記憶している。曰く、自民党が野党の立場(リベラル)を奪ってしまったと。

 先の「鵺」の話に擬えて言うと、自民党というのは「鵺」のような政党であり、顔は右翼、体は保守、手足はリベラル、尾は左翼という具合に、バランスよくまとまったチャンコ鍋のような政党なので、野党を必要としない無難な政党ということになってしまう。自民党一強の理由は、自民党が「鵺」政党であることも少なからず関係している。

 第1次安倍内閣は「中道右派」と思われていたが、現在の第2次安倍内閣は「中道左派」か「リベラル右派」と言ってもいいぐらい、少し左に寄っているように見える。
 そのリベラル政党でもある自民党を批判しているのがリベラル政党だというのだから、この時点で何かがおかしいことになる。リベラル政党である自民党を批判する政党があるとすれば、それは右翼政党・保守政党・左翼政党のいずれかということになる。では、「リベラル」を名乗る日本の野党はどれに該当するのか?

 アメリカにはトランプ大統領が属する共和党という保守政党があるが、日本の「リベラル」を名乗る野党は反トランプなので保守政党とは全く相容れない。となると、答えは自ずと決まってくる。右翼政党や中道右派の保守政党が自民党を批判するなら理解できるのだが、そうでない限り、リベラルを批判するのは…(以下省略)

(注記)本記事内の「リベラル」という言葉は、文脈によって意味が違っています。


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