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NHKネット同時配信の「妥当性」

■NHK視聴者の6分類

 少し前から話題になっていたNHKのネット同時配信を総務省が容認したということでネット上では大きな騒ぎになっている。総務省の見解は「一定の合理性、妥当性を認める」というもので、「受信料の体系を見直す」という条件付きで容認することが決定したらしい。
 より詳しく書けば、「国民・視聴者の理解が得られることを前提に、一定の合理性、妥当性がある」とのことらしいが、この場合の「国民・視聴者の理解」とは何を意味しているのだろうか?

 NHKにおける「国民・視聴者」というものは、実は多岐にわたっており、単純に考えられるだけでも、以下の6つのグループに分けられる。

A、受信料を支払い、NHK番組を好んで観ている人
B、受信料を支払い、NHK番組をあまり観ていない人
C、受信料を支払い、NHK番組を観ていない人
D、受信料を支払わず、NHK番組を好んで観ている人
E、受信料を支払わず、NHK番組をあまり観ていない人
F、受信料を支払わず、NHK番組を観ていない人

 「一定の合理性」というのは、基本的には上記の「」だけが享受できるものであり、割合的にどれだけいるのかは不明だ。
 私の場合、「」と「」の間に該当する(NHK番組は滅多に観ない)ので、ネット同時配信を行われても、特に何のメリットも感じられない。受信料が値下げされるならメリットと成り得るかもしれないが、これまでのことを鑑みれば、そこまで大きな値下げは期待できそうもない。

■「合理性」を追求する公共放送

 NHKの番組が、受信料を支払わなくても観れる人がいるのは、「公共放送」という大義名分が有るからだと言える。受信料を支払える人が、受信料を支払えない人の分まで支払うことで、無料で公共放送を観れる人がいる。それがNHKが謳っている「公共の福祉」というものだろう。
 そう考えると、NHKの受信料は一種の累進課税的な税金のようなものだと言えるのかもしれない。

 しかし、もしそうであるなら、なぜスマホで観るような高機能性が必要なのか?という疑問が生じる。受信料を支払えないような人がなぜ高価なスマホを持っているのか?という疑問が生じてしまう。

 公共放送が「合理性」の追求を行うことで「利便性」を感じられる視聴者とは誰のことを意味しているのだろうか? それは、受信料を支払っている人だろうか? それとも支払っていない人だろうか?
 どちらかと言えば、受信料を支払えない人のために存在していると言える公共放送が求めるべき合理性とは、如何なるものであるべきなのか? その辺の公共放送の本来の目的が曖昧に成り過ぎているような気がする。

■NHKの受信料が値上げに向かう可能性

 現代は、ネットでの定額動画配信サービスが注目を集め、NetflixやHulu、U-NEXT、dTV(順不同)など、次々と新しいネット動画配信企業が出現している。NHKもそんな時代の波に乗り遅れまいとネット動画配信に参入しようとしているのかもしれないが、先にあげた企業は全て民間企業だ。民間企業である限り、合理性の追求は必須課題であり、面白くない番組ばかりなら視聴者は愛想を尽かしてしまうし、スマホでも観れず、料金的にも割りに合わなければ、すぐに退会されてしまう。そんな厳しい環境下であれば、合理性の追求はやむを得ない。

 ところが、NHKの場合、合理性を追求せずとも、受信料を徴収できるシステムになっている。番組に魅力が無かろうが、料金が高かろうが、簡単には退会できないシステムの上に成り立っている公共放送が合理性を追求すれば、多くの識者が述べている通り、民業圧迫を招いてしまう。これは、図書館が必要以上に乱立すれば、民業圧迫になることと同じ理屈でもある。

 しかし、よくよく考えてみると、NHKがネット同時配信を行うことで、回収できる受信料収入は増加するのだろうか? そうなるためには、「ネット配信で便利になったので受信料を支払おう」という新規視聴者が増加しなければならないが、元々、全ての家庭から受信料を徴収していることになっているわけだから、今まで支払っていなかった人から徴収しない限り、受信料収入が増加することはない。となると、インターネット環境が有るだけで受信料を支払わなければならないということになるのだろう。もし、それでも支払わないという人がいれば、巨額の設備投資資金を回収するために、既存視聴者の受信料が値上げということになってしまうかもしれない。

 「合理性」を追求するのはよいとしても、その結果、受信料が値上げになるようなら「妥当性がある」とは言えない。
 視聴者から「NHKもネット配信するべき」という多くの要望があるということなら、値上げされても仕方がないかもしれないが、視聴者の意見を無視してのネット配信による値上げであるなら、妥当性以前の問題だと言える。
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