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携帯電話利用料金「4割減」の経済学

■消費増税の代償が「携帯利用料金値下げ」なのか?

 菅官房長官が札幌市内の講演において、次のような発言をされたらしい。

 「携帯電話の利用料は今よりも4割程度下げる余地がある

 この発言により、携帯電話大手キャリア3社(楽天も含めれば4社)の株価が一時的に急落した。
 逆に多くの消費者はスマホ利用料金が安くなると思い大喜びしているようだ。

 MVNOを利用しているライトユーザーには、毎月1000円程度の基本料金が4割下がってもあまり有り難みもないと思われるが、大手キャリアのスマホを使用しているヘビーユーザーにとっては4割は魅力的に映るのかもしれない。

 ところで、この発言が来年の消費増税を見越したもので、消費者の不満のガス抜き政策との噂も飛び交っている。真相のほどは定かではないが、確かに考えられなくもない。
 しかし、携帯利用料金が安くなるのは良いとしても、政府の政策(失策)の補填(尻拭い)をなぜ民間企業が肩代わりしなければならないのかは疑問ではある。

■政府の尻拭いをしているネット証券

 もし本当に政府が消費増税の尻拭いを考えているのであれば、携帯利用料金以前に他の税金を引き下げることを考えていただきたいものだ。
 例えば、株式売買における譲渡益課税を現行の20%から10%に引き下げるとかした方が国民の納得度も高いと思う。

 今から15年程前のネット証券の売買手数料は、10万円以下の株式で片道700円位だったと記憶している。その当時は、株式の譲渡益課税が10%だったので、仮に1万円の利益が出た時点で売却した場合、手取り額は以下のようになっていた。

 10,000円−1,000円(税)−1,400円(手数料)=7,600円

 現在はネット証券の企業努力(安値競争)によって、10万円以下の株式の売買手数料が100円以下になっている。この場合、1万円の利益が出た時点での売買コストを計算してみると手取り額は以下のようになる。
(注)復興特別税は計算に入れていない。

 10,000円−2,000円(税)−200円(手数料)=7,800円

 この計算で判ることは、政府の増税分を民間企業が肩代わりしたことによって、トータルコストが下がり手取り額が増加しているということだ。
 普通に考えると、期間限定で10%にしていた譲渡益課税を20%に戻せば株式市場が低迷するはずだが、民間企業の企業努力(安値競争)によってその低迷が避けられたことを意味している。

■携帯利用料金が下がれば、税収も減少する

 消費税が2%アップされるということは、毎月5万円を消費する人なら1000円程度の出費増となる(出費が増えるというよりも1000円分の消費ができなくなるという意味)。しかし、携帯利用料金が4割も下がれば、2000円以上の出費減となるので、プラスになる人が多くなる。(日本のスマホ月額平均料金は6342円)

 しかし、個人の消費活動のかなりのウエイトを占めていると思われる携帯利用料金が大きく下がるということは、政府の税収も下がるということなので、税収増加を目的とした消費税を上げる意味が大きく薄れてしまうことになる。
 携帯利用料金を下げるとか、一部の商品に軽減税率を適用するというような中途半端で複雑な増税策なら、いっそのこと、消費増税を中止した方がスッキリするような気もする。政府はトランプ大統領を見習って、減税路線に切り替えるべきだと思う。


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コメント

>>>例えば、株式売買における譲渡益課税を現行の20%から10%に引き下げるとかした方が国民の納得度も高いと思う。

株式売買をやっている人口を考えると、国民の納得度はまったく高くないと思う。
この筆者は一般論を語る知識が足りてないので、一度勉強しなおしたほうがいい。

投稿: 貧困民 | 2018年8月24日 (金) 16時56分

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