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『働きたい時に働く改革』が始まった

■『働き方改革』よりも『働きたい時に働く改革』

 国会内で政治家達が『働き方改革』の内容について「あーだ」「こーだ」と揉めている最中、民間企業内では、本当の『働き方改革』が水面下で進行していたらしく、働く時間の自由を求めて、敢えて非正規雇用を選ぶ人が増えているらしい。

 昨今の人手不足で賃金も上昇しつつあり、厚生年金にも加入できる非正規雇用が出てきているため、月給をもらうためだけに無駄な労働時間に縛られるよりも、「働きたい時に働く」という合理的な労働スタイルに魅力を感じる人が増えてきたということなのかもしれない。

 「非正規を正規に!」と叫んでいる人々がいる一方で、自ら進んで非正規になっている人が大勢いる。なんとも皮肉な現象だが、自ら非正規を選んでいる人にとっては「非正規を正規に!」と言われても大きなお世話だろう。

 『働き方改革』は、イメージ的に「働きたい」よりも「働きたくない」という感情が優先されているような感じがする。そんな中、「働きたい」を重視した『働きたい時に働く改革』に注目が集まるのは時代の趨勢と言えるのかもしれない。
 単に「仕事(残業)はしたくない」ではなく、「無駄な仕事(残業)はしたくない」の方がより健全な思考だと言える。

■「同一労働同一賃金」はミッション・インポッシブル

 『働き方改革』が目標としている「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金の実現」は、より本質的に書けば以下のようになる。

「(無意味な)長時間労働の是正」
「(公平な)同一労働同一賃金の実現」

 この2つを実現するために必要なことは次の通り。

 ○8時間分の仕事を6時間でできる人には、

  →2時間早く終業できるようにする。
   (帰れないなら2時間分、給料を上げる)

 ●8時間分の仕事を10時間かかる人には、

  →2時間分の給料を減額する。
   (2時間分、残業する必要がなくなる)

 あくまでも限られた一例だが、これで、2人で16時間以上費やしていた労働時間を実質的に12時間(給料を考慮しての時間)まで圧縮できるので、長時間労働の是正に繋がり、同一労働同一賃金にも少しは近づく。無論、労働生産性もアップする。

 しかし、前者(○)を認めれば「不平等だ!」という批判が出て、後者(●)を認めれば「それはできない!」という批判が出る。「8時間分の仕事を6時間でできる人」には文句を言う理由がないので、どちらの批判も、ここで言うところの「8時間分の仕事を10時間かかる人」から出てくることになる。

■「平等」は「不自由」を齎し、「公平」は「自由」を齎す

 8時間分の仕事で10時間分の給料を貰うことは普通に考えても不自然だと思うのだが、なぜかこの国では、そういった当たり前の常識が通用しなくなっている。「同一賃金」ばかりに意識が向けられ、「同一労働」というものが考慮されていない(曲解されている)状態だとも言える。

 以前にも指摘したことだが、「同一労働同一賃金」というのは、その言葉の通り、「同じ労働は同じ賃金」ということ、つまり「能力給」のことを意味している。それにも拘らず、仕事を行う能力に関係なく同一賃金になるという幻想を追いかけているため、実現不可能になってしまう。

 政府の音頭に関係なく、「働く時間の自由」を求めて自ら非正規労働を選択する人が増加している背景には労働における価値観の変化がみてとれる。
 「平等」を追い求める「同一労働同一賃金」は不可能なので、「公平」な労働形態である非正規労働にシフトしていく人が増えているのかもしれない。

 先行きの見えない変化の激しい時代であるからこそ、正規・非正規間の収入・待遇にそれほどの開きがなくなれば、時間に縛られ過ぎる正規雇用よりも、時間に余裕の持てる非正規雇用を選ぶ人がいても何ら不思議なことではない。
 この現象は、“「平等」は「不自由」を齎し、「公平」は「自由」を齎す”という当たり前のことが認識されつつあることを物語っているのかもしれない。
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