高血圧の基準値「130」は正しいか?
■年々、下がっていく高血圧の基準値
現在、日本では高血圧の基準値が、上が140、下が90とされている。この数値が妥当な数値かどうかは扨措くとして、今年(2019年)の4月からは、基準値は据え置くらしいが、目標値をそれぞれ10引き下げて、上が130、下が80に改訂される可能性があるらしい。
【現在の基準値】上140/下90
【今後の目標値】上130/下80
高血圧の基準値は、この30年間程で大きく低下した。
1987年…上180/下100
2000年…上140/下90
2008年には上が130になったという説もあるが、いずれにしても、130になってしまえば、その差、なんと50。わずか30年間で高血圧の基準値(目標値)が1.4倍近くも下がることになってしまう。
■老化現象が無視されている血圧の基準値
もし本当に130が正しい高血圧の基準値なのだとすれば、これまでの30年間は一体なんだったのか?という疑問が生じる。「これまでの30年間はハッキリとしたことが判らない時代でした」または「これまでの数値は全くの出鱈目でした」とでも言わなければ辻褄が合わなくなってしまう。
昔から、高血圧の定義は、「年齢+90」と言われていた。
40歳の人であれば、40+90=130
50歳の人であれば、50+90=140
60歳の人であれば、60+90=150
70歳の人であれば、70+90=160
こんな具合に、年齢によって高血圧の基準値は違うものというのが一般的な常識だった。実際に、血圧は年齢とともに上がっていくものなので、現在のように、成人であれば20代の人間も80代の人間も全く同じ基準値を適用しているというのは、人間の生理的な老化現象が全く考慮されていないことになる。
これは身長や体重の差を考慮しないメタボ検診と同じようなものだと言える。以前、メタボ検診の基準値(85cm)は小型犬と大型犬の違いを考慮せずに腹囲を検査しているようなものだと指摘したことがあるが、血圧の基準値は、成犬と老犬の違いを考慮せずに検査しているようなものである。
■全国民の2人に1人が高血圧?
人間は加齢とともに血液の流れが悪くなるので、血液を身体の隅々まで送り届けるために、生理現象として血圧が上がるようになっている。
そう考えると、高齢者がある一定の水準まで血圧が上がるのは、むしろ健康である証拠でもある。その一定水準を超えて上がる分には対処が必要になってくるが、ほんの少し血圧が上がる程度なら、肉体の防御システムが機能していると考えるべきだろう。
これは、風邪のウイルスが身体に侵入すれば、肉体の免疫システムが機能して体温が上がる(熱が出る)のと同じようなものとも言える。
高血圧の基準値が140から130に引き下げられることで、高血圧と診断される人は現在の4000万人(これでも多過ぎる)から、実に6000万人以上に拡大されるらしい。本当にそんなことになると、全国民の2人に1人が高血圧患者として病人扱いになってしまう。
医者が足りないと言われている時代に、無闇に高血圧の基準値を引き下げて、病人の数を増やす意味があるとは思えない。国民の半数を“病人”にカテコライズしてしまう基準値が本当に正しい基準値と言えるのかは甚だ疑問である。
----------------------------------------------------------------------
| 固定リンク
「医療」カテゴリの記事
- 高血圧の基準値「130」は正しいか?(2019.03.18)
- 「インフルエンザ集団感染」で判明したこと(2019.02.02)
- 「胃がんの原因の95%はピロリ菌」の勘違い(2017.01.14)
- 「ピロリ菌除去」におけるリスクを考える(2016.10.22)
- 労災認定ニュースで考える「バリウム検査」(2015.10.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント