株式投資

『一人の力で日経平均を動かせる男』のシンプルな成功法則

■「株式相場で230億円稼いだ男」の自伝本

 昨年末に書店で見かけて気になっていた書籍『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』を購入し読んでみた。

 本書は「一人の力で日経平均を動かせる男」という異名だけでなく、実際に「株式相場で230億円稼いだ男」として知る人ぞ知る相場師cis氏の初単行本になる。内容的にはハウツー(How to)本ではなく、cis氏個人のトレーダー人生を綴った自伝本だったが、実績のある相場師の生の体験談は非常に興味深く、目からウロコな話もあり、一気に読み終えた。

 アマゾンのレビュー欄を見てみると、具体的な株式の購入手法が書かれていないということで低評価の人が何人もいたが、cis氏の投資哲学なるものはハッキリと書かれてあったので、これはこれで一種のハウツー本としての機能も果たしているのではないかと思う。

■チビチビ損してガッツリ儲ける(損小利大)

 大物相場師がどんな売買をしているのかという興味は尽きないが、意外にもcis氏の場合、「上がっている株を買い、下がっている株は買わない」という順張りのトレーダーだった。株式投資を始めた頃は、順張りではなかったそうで、それゆえに儲けることができなかったらしい。

 「押し目買いはやってはいけない」とか「ナンピン買いは最悪のテクニック」とか、基本的に逆張り投資家の私には耳の痛い話も多かったが、逆にそこが新鮮だった。
 確か、村上世彰氏の自伝本『生涯投資家』にも「株は騰がり出したら買い、下がり出したら売る」と書かれていたので、やはり基本的には順張りの方が儲かるものなのかもしれない。

 順張り、逆張り以前に、チビチビ損してガッツリ儲ける(損小利大)が基本だと書かれていた。(そういう文章で書かれているわけではない)
 大部分のトレーダーは、チビチビ儲けてガッツリ損する(利小損大)になっているので儲けられない。これは確かにその通りなのだが、このルール(鉄則)を守るのは簡単なようで難しい。

■銘柄を買うのではなく、確率を買う

 cis氏の場合は、上がっている株はそのまま放置し、下がった株は即損切りを徹底しているらしい。
 確かに専業で短期売買(デイトレ)を行っている人なら、それが正しい投資スタイルなのかもしれない。しかし会社に勤めていながら副業や趣味で株式投資をしている人の場合は、相場にずっと張り付いているわけにはいかないので、実践するのはなかなか難しい。

 cis氏の投資哲学は実にシンプルな成功法則に基づいている。それは極論すれば、「騰がる確率」と「下がる確率」のどちらにベットするかというスタイルである。
 例えば、100銘柄の株式をマークしている人がいたとして、その中に騰がり基調にある株を10銘柄同時に購入したとしよう。その場合、ある一定の額までそのまま騰がる可能性が高いか、それともある一定の額まで下がる可能性が高いかを比較した場合、騰がり基調にある場合は、前者の騰がる可能性に賭けた方が勝てる確率が高くなるということなのだろうと思う。理論的には同じなのかもしれないが、人間心理というものが加わると確率に歪みが生じる。
 その場合、銘柄も業績もあまり関係がなくなる。選んだ10銘柄の内、6銘柄以上勝てば、トータルで儲けになるという実にシンプルな法則に基づいている。銘柄を買うのではなく、確率を買う。それが短期売買のシンプルな成功法則ということなのだろう。

 大富豪に成るような人は無駄遣いをしないとよく言われるが、それはcis氏にも当て嵌まる。億万長者であっても効率重視で、自宅は買わない、高級車も買わない、ブランドものにも興味がないという徹底ぶり。
 自らの体験談も混じえた「不動産投資は罰ゲーム」という話は非常に参考になった。こういう貴重な意見を読めただけでもお金を出して購入した価値がある。

 未だ読まれていない個人投資家の人や株式投資に興味が有る人に、強くオススメしたい。
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